今日は2015/9/9ということで、TR-909の日です。そこで、TR-909を現代のテクノロジーでRolandが復活させたTR-8の機能を説明します。TR-8にはマニュアルに書いていない隠し機能が多く、ユーザーを困惑させます。そこで、ローランドのマニュアルやQ&Aから重要な項目をピックアップして紹介します。
ローランドのサイトからアップデーターをダウンロード
まずはアップデーターをダウンロードしてTR-8をアップデートしてください。いくつかの機能は最新のヴァージョンでないと機能しません。
http://www.roland.co.jp/support/by_product/tr-8/owners_manuals/63187317
TR-8をPCとUSB接続して、ダウンロードしたファイルの中にあるマニュアルを見ながらアップデートをしましょう。
パッドLEDの色を変える
初期設定のパッドは明るすぎると私は感じるので、この設定でエコノミーに変えることをおすすめします。この変更による二次的な利点は「弱」で打ち込んだステップの色が「紫」になることで、弱アクセントのステップが見やすくなります。(初期設定では「弱」は若干明るさが落ちるだけで、視認性が高いとはいえません。)
- [ PTN SELECT ] ボタンを押しながら電源を入れます。
- [ DEPTH ] ボタンを押しながら SCATTER つまみを回して、” 2 ” に設定します。
- [ START/STOP ] ボタンを押して、設定を保存します。
パターン変更時に上書きされないようにする
この設定がONでない場合、TR-RECシーケンスの内容に変更を加えると自動的に保存されてしまいます。つまり、常に最新の状態が保存されています。すると、例えばライブ用にリズムを仕込んでいって、ライブ中にパターンを変更すると、せっかく用意したパターンが台無しになってしまいます。ですからこのパターンロックを作動させて、ライブ中の変更で書き換わらないようにしたほうがいいでしょう。また、変更が保存されないだけであって、演奏中にシーケンスの内容を変更することは当然できます。
- [PTN SELECT]ボタンを押しながら[TEMPO]つまみ を回します。
- ディスプレイに「OFF」(変更可能)または「LocK」(変更禁⽌) が表⽰されます。
- ※ この設定は、電源を切っても記憶しています。
シーケンスを冒頭からやり直す
「TAP+START/STOP」
例えばDJプレイにTR-8を手動で合わせたい場合に、以前は非常に不便でした。TR-8がDJのビートと連れてきてしまった場合に修正するには、一旦再生を止めて、またすぐに再生するしかなかったからです。しかし、バージョンアップによって、シーケンスを冒頭から再生しなおす機能が付きました。便利です。
各パートの音量の調整
TR-8の初期バージョンでは、キックとスネアの音量が大きく、ハイハットやライドの音量が明らかに小さいため、音量の調整が難しいという問題がありました。この機能によって、キックやスネアといった音量が大きいパートを抑えることで、かなり使いやすくなります。
- [KIT]ボタンを押します。
- 調整したいインストの INST セレクト・ボタンを押しながら[TEMPO]つまみを回します。
- ※ 設定できるゲインの範囲は「0」(-24dB)〜「100」(0dB)
〜「200」(+24dB)です。 - 大きい音量を下げるか、もしくは小さい楽器のボリュームを上げればいいでしょう。
弱アクセントの入力
- TR-REC モードで、各 [INST SELECT] ボタン(BDとかSDといったボタンのことです)を押しながらパッドを押してください。
- このとき、LEDの設定をエコノミーモードにしていれば、弱アクセントは紫になります。
SCALEの活用法
TR-8のスケールは、音楽理論におけるスケールとは意味が違います。TR-8のスケールは、簡単にいうとシーケンスの長さを決定します。
具体的には次のようなアイデアがあります。
スケール1(triplet)を選択し、三連符を使う
さらにポイントは、Last Stepを12に設定することです。すると、白くぼんやりと光っているところが、ちょうど四つ打ちのキックが入る場所になります。
たとえば1,4,7,10にキックを入力し、2,3,5,6,8,9にタムを入力してみてください。すると、四つ打ちで、しかも三連符のフィールが出ていることがわかります。
実際にそうしているかはわかりませんが、リッチー・ホーティンのプラスチックマン名義でよくきくことができるサウンドになります。
スケール4(1/32 note)を使って細かいリズムを打ち込む
このスケールに設定すると、1拍が8等分されるので、結果として1つのステップが1/32 note を担当することになります。つまり、通常のリズムマシーンでの打ち込みよりも、2倍細かいリズムを打ち込むことができます。ジュークやフットワークのようなこまかいリズムを打ち込む際に便利なモードです。
2台のTR-8を用意して、互いに異なるスケールにする
例えば、片方を通常の1/16のフィールに設定し、もう片方を三連符のフィールに設定して同期させれば、3連符と1/16 noteが同居するリズムを作り出すことができます。
インストの演奏にアクセントを付ける
- ACCENT の[STEP]ボタンを押し ながらパッドを押すと、指定したステップにアクセントを付け て演奏できるようになりました。
シーケンスのA/Bを連続して再生する
「AとBを同時押し」
AとBのシーケンスを個別に設定し、AとBと切り替えて使う方法が一般的ですが、この2つをつなげて再生することも可能です。つまり、 通常であれば1小節ごとのシーケンスを使うモードですが、これをつなげて2小節のパターンをつくることができるということです。
余談ですが、AとBをつなげる際に、Aを再生中にBを押しても、Bを再生中にAを押しても、かならずAが先に再生されます。これは一旦再生を止めてから、また再生するとわかります。かならずAのシーケンスが先に再生されます。
A/Bのパターンを切り替えずに、中身を編集する
- [TR-REC]ボタンを押しながらバリエーション・ボタン[A][B]
注意すべきは「点滅していないほうが編集中のシーケンスだ」ということです。
また、A/Bで異なるスケールを選択することはできません。しかし、ラストステップはAとBで異なるものを選択できます。
エフェクトの変更・エフェクトをかけるパートの変更
実はリヴァーブとディレイは、エフェクトの内容を変更できます。また、一部のパートはエフェクトを掛けない、ということも選択できます。
エフェクトの変更→INSTセレクトモードで
INSTセレクトモードに入って、REVERBもしくはDELAYの「STEP」ボタンを押すと、16ステップのパッドでエフェクトが変更できます。
かける対象の変更→KITセレクトモードで
KITセレクトモードに入って、REVERBもしくはDELAYの「STEP」ボタンを「押しているあいだだけ」、ゴムの各パートのセレクトボタンが光ります。(BD,SDといったボタンのことです。) 光っているボタンは、エフェクトがかかっているパートです。
なお、16stepのボタンは、単にKITを選択するボタンです。
16Stepシーケンスの消去
クリアーボタンを押しながら、消去したいパートのボタンを押します。(BD,SDといったゴムのボタンです。)
なお、一気に全パート消すCOMMANDはないようです。
ロール
ロールにはどのようなバリエーションがありますか?
8th[12]、16th[13]、VARI1[14]、VARI2[15] の 4 つのパッドを組み合わせて押すことで、様々な種類のロールバリエーションを作ることができます。
ご参考例 :
8th[12] – 16th[13] – VARI1[14] → 32th Roll
8th[12] – 16th[13] – VARI1[14] – VARI2[15] → 64th Roll
パターンのコピー
再生中はできません。
- [PTN SELECT]ボタン( 3 )を押します。
- [PTN SELECT] ボタン( 3 )を押しながら、コピーしたいパターンをパッド(14)で指定します。すると、押したパッド以外が点滅します。これでコピーモードに入っていることがわかります。
- 次に、パターンを貼り付けたいパッドを押します。
インストごとにパターンをコピーする
再生中にはできません。ようは、スネアだけコピーする、といったことが可能です。
- コピーしたいパターンのパッドを押して、パターンを切り替えます。
- [PTN SELECT] ボタン( 3 )を押しながら、コピーしたいインストの INST セレクト・ボタン(ゴムのボタンです)を押します。すると、ゴムのボタンが一部光、また16stepのパッドもが点滅します。このモードでは複数選択が可能です。
- [PTN SELECT] ボタン( 3 )を離します。
- パターンを貼り付けたいパッド(14)を押します。
パターンをつなげて再生
実際にライブで使うのはかなり難しいですが、パターンをつなげて再生することができます。つまりA/B切替をつなげて2小節分にしたようなことが、パターンでもできます。ただし、連続して隣り合っていないとだめです。
- 2 つのパッドを同時に押すと範囲選択できます。選択されたパターンは順次再生されます。
Jeff Mills のTR-909プレイを見る
http://www.amazon.co.jp/dp/B010EB1GVQ
TR-909といえばジェフ・ミルズです。TR-909の日に合わせて、ジェフ・ミルズが映像付きの作品をリリースしました。
TR-909一台でライブしてしまう圧倒的な技術を学べます。
これをみるとわかるのですが、ジェフ・ミルズはかなりリアルタイム入力を多用しています。しかも、パートのボリュームをゼロにし、音が出ていない状態で入力し、後からボリュームを上げてパートを再生しています。
ではまた!