なぜ「けいおん!」が神アニメなのか。理解したい人の音楽理論講座〜1〜


今週はニコニコ生放送にて「けいおん!!」及び「映画けいおん!」一挙放送があるということで便乗させていただき、音楽理論講座の楽曲分析の対象を「けいおん!!」最終話、それから「映画けいおん!」にて演奏されるキー曲「天使にふれたよ!」とさせていただきます。

サビ

 

 

Neralt:音楽理論家/DJ/演奏家:「簡潔」で「実践的」で「役に立つ」をコンセプトに音楽理論の情報を発信しています。DTM/DAW/トラックメーカーといった楽譜が苦手な人に得に向けて書いています。著作については →こちら

 

なぜ「天使にふれたよ!」を選んだのか

「けいおん!」で使われた様々な楽曲の中から、なぜ「天使にふれたよ!」を選んだかというと、複数のけいおん!識者の方からですね、『どれか一曲分析するのであれば「天使にふれたよ!」しかない』という熱い意見をいただきまして、素人の私としては「Cagayake!GIRLS」や「Utauyo!!MIRACLE」のような派手な曲の方がいいんじゃないかと思ったのですが、「わかってない」と。「天使にふれたよ!」しかないんだと、説得されました。

そんなにですか…? 正直この企画を立てた時点では「けいおん!」を全く拝見したことのなかった私には、なんでこんな普通の曲を選ぶのか理解できていませんでした。もっと転調したり、変則的なリズムがあったり、えぐいコードを使った曲をもあるのに…と愚かにも考えておりました。何故こんな「シンプルな曲」が神曲なのか、と。

「天使にふれたよ!」= 正終止 = Ⅴ – Ⅰ の「Ⅰ」、つまり「音楽を終わらせる最後のコード」

繰り返しますが、私は愚かでした。コードやスケールといった理論で音楽が分かるような気になっていました。でも音楽の良さというのはそういうことではないですよね。シンプルだけれどいい曲、変哲もないのに心惹かれる曲がたくさんあります。音楽とは本来そういうものだとも思います。こうなっているからすごい、とかこうしなくてはいけない、という性質の物ではありません。

今回も、この「シンプル」ということが「天使にふれたよ!」が名曲であるキーポイントになってくると思います。映画の最後を飾る、そしてけいおん!という物語を終わらせるに相応しい終止感」がこの楽曲にはあります。大げさにいえば、この楽曲自体が正終止= Authentic cadence = Ⅴ – Ⅰ の「Ⅰ」つまり「音楽を終わらせる最後のコード」だということもできるかもしれません。大げさですが。終わり、というのがテーマになります。

つまり、けいおん!の他の挿入歌は、リズムやコードや演奏テクニック的にかなり高度な要素が詰め込まれているテンションの高い楽曲です。これはドミナントコードに対応します。しかし課題曲は、非常に基本的で素朴で、安定感のある楽曲です。つまりトニックコードに対応します。「天使にふれたよ!」は、ストーリーを締めくくる一曲でもあるし、同時に楽曲として見た場合にもその安定感から、締めの一曲である、といえるだろう、というのが本論の結論です。

とはいえ、「けいおん!」の素晴らしさ、「天使にふれたよ!」の感動は私たちの心の中にあります。楽理にはありません。今回説明していく内容はあくまで技術的な、もっといえば私個人の感じ方です。それを忘れずに、とはいえ技術的な問題に言及しつつ、今回も分析していきたいと思います。よろしくお願いします。

そもそも「けいおん!」の良さとは一体なんなのか?

これは有識者の方がさんざん語り尽くした部分ではあると思うので、本来私のような「けいおん!」素人が説明すべきことではありませんので、熱烈なけいおん!ファンのやおきさんの解説をここで挟みます。私の音楽理論の話は下のほうで!

 

解説

11月27日平沢唯ちゃんのお誕生日。0時も過ぎてから彼女に捧げるお誕生日イラストを描いていたところ、neralt氏からお誘いがかかりました。

the 8 rise a.k.a. やおきと申します。
(*普段はJ-POPとアニソンの歌詞分析をやってます lyricstheory.com )

 

TVアニメが放送開始した2009年4月からの「けいおん!」ファンで、今回は主に物語上の解説をさせていただきます。ぼくが最初に「けいおん!」にはまった楽曲はオープニングの「Cagayake! GIRLS」と挿入歌の「わたしの恋はホッチキス」でした! 唯ちゃんとムギちゃんが好きです。

背景

ニコ生の一挙放送2日目(12月14日17時~)では最終話に「天使にふれたよ!」が演奏されます。この曲はいわば物語を終わらせる地点に置かれたもので、のちに取り上げる「U&I」と並び、「けいおん!」の物語を貫く平沢唯らの成長の記念碑的な作品といえます。

その背景を説明したいと思います。

けいおん!とは…主人公:平沢唯の成長物語

主人公・平沢唯に注目すると、TVアニメ「けいおん!」1-2期および「映画けいおん!」の物語はだいたいこのように説明することができます。

1.2平沢唯の成長物語

1期1話の唯ちゃんはダメな子でした。ふわふわおっとりで魅力的であるものの、とにかく人とはリズムがずれていて、取り立てて目標を持っていない。クラスによくいる感じの天然おっとりな子で、何を言われても「あはは~」「うふふ~」と笑ってすませるようなそんな女の子でした。

唯ちゃんの物語の起点は、高校デビューから始まります。どこに入るか決めかねていた部活動で、彼女は軽音部を選択します。「高校生になった私は初めて、部活を始めました!」とドヤ顏でギターを背負うシーンからは、彼女が生まれて初めてかもしれない、何かにコミットすることの充実感を、「部活動」から得ていることがわかります。あやふやでくにゃっとしたキャラクターが、パリッとして生き生きしはじめたその変化に、ぼくは「もうこのアニメは神アニメにちがいない!」と確信しました。

軽音部に入部することで、彼女は「音楽」と「仲間」という重要な二つの宝物を手にします。それは彼女を輝かせる素敵な、かけがえのない宝物だったのです。

ねぇ 思い出のカケラに
名前を付けて保存するなら
”宝物”がぴったりだね

(from 「天使にふれたよ!」)

具体的には、彼女の愛は、次のように描写されています。

1.3平沢唯が好きになったもの

ギー太は彼女の愛器で、ベッドで一緒に寝たりするぐらいに愛着を持っています。他のどのギターでもなく、ギー太に出会ったからこそ、彼女の音楽的な才能が遺憾なく発揮され、自分自身を好きになり、自信を持てるようになったことが想像されます。

このギターと音楽へののめり込み方が素晴らしいです。

音楽という趣味を通してつながった仲間たちと、一緒の時を重ねていく素晴らしさ。「けいおん!」のアニメ全体で描写されているのはそのありふれてはいるが奇跡みたいな体験です。繰り返しますが、これまで何も取り柄がなく取り立てて居場所もなかった平沢唯が、初めて自分の能力を遺憾なく発揮し周囲に認められ、愛されて充実する場所を見つけられた。このことが重要なのです。

正確にいえば、中学生までの平沢唯の居場所は家庭と、幼馴染との人間関係の中にしかなかった。そこから出会いを経て成長し、そこから自立していくという物語なのです。

 

あずにゃんとは何か

中野梓(以下あずにゃん )は「けいおん!」の中でも特別な位置を占めています。

父親の影響でジャズにも通じており、もともとギターが上手かったあずにゃん。ツインテールがかわいいあずにゃん。意地っ張りだけど寂しがりやのあずにゃん。

あずにゃんの可愛さはもちろんその小さな体や性格、ツインテールの記号性にもありますが、ぼくたちが理解したいのは次の点です。

あずにゃんは、軽音部の唯一の後輩であるということ。

(より深く知りたい方、批評に関心のある方はぜひ批評誌『セカンドアフター』のVol.1またはVol.3のてらまっと氏のテキストをお読みください。あずにゃんがなぜ「天使」なのか、クリティカルでスリリングな文章を読むことができます。特にVol.1所収「ツインテールの天使」論、神がかっています。)

1.4あずにゃんとは

 

ああずにゃんはなぜかわいいのか。平沢唯にとって特別な存在であり、軽音部のみんなにとって天使のような存在であるのか。それをここで理解しましょう。

1年目、部員がいないため廃部状態であった軽音部に、幼なじみの2人(秋山澪、田井中律)が入部し、次に琴吹紬が入部します。この3人の上手いとはいえない演奏に感動した唯ちゃんは、楽しそうな雰囲気に惹かれて入部します。これで4名の基本メンバーが揃います。

ここで注意したいのは、「軽音部のメンバーの演奏は上手くない」ということです。実際、唯ちゃんは正直に「あんまり上手くないですね!」と言ってずっこけさせてしまう描写があるぐらいです。

2年目、あずにゃんが入部してくれたのは、彼女たちの演奏に惹かれるものがあったからでした。おそらく人気のある競合であるジャズ研ではなく、わざわざマイナーな軽音部に入部してくれたスーパールーキーの後輩が可愛くないはずがないでしょう。

3年目も、新歓では結局部員を獲得することができませんでした。

 

ちなみに、唯ちゃんとあずにゃんの相同性があって、それは軽音部の技術よりも演奏している雰囲気に惹かれている面が強い点がそうです。それは、ふたりがなぜか3年の時を超えて放った「あんまり上手くないですね!」というセリフの一致によく現れています。

あんまり上手くないのに好きだ。あんまり上手くないのに素晴らしい。これが唯ちゃんとあずにゃんを「音楽」そして「仲間」を愛する原動力になっており、「けいおん!」がぼくたちを惹きつける魅力になっていると思うのです。ぼくは!

 

 

1.5唯と梓の相同性

さて、上記のように零細な軽音部の状況から必然的に導かれるのは、先輩4人が卒業するとあずにゃんはひとりになってしまうということです。本作に限らず、あらゆる卒業の場面ではこの「別れの寂しさ」がフィーチャーされるとは思いますが、あずにゃんにとって卒業イベントの特殊性とは何か?

実は物語全編において、あずにゃんは先輩方に対してある種の疎外感を感じつづけていました。気後れという方が適切かもしれないし、単に仲良しの輪に入りづらいという彼女の性格に起因しているのでしょう。(ぼくも彼女の気持ちよくわかります! 和気あいあいしている場に上手く入るのが苦手)

そんな彼女を特に唯ちゃんが常日頃から、「あずにゃん大好き〜」とペロペロしながら輪の中に引き込んであげていました。しかし、みんなが行ってしまうこの卒業イベントは、「あずにゃんも一緒に卒業しようよう〜。おいでおいで〜」というわけにはいかない。

自分は、やはり輪の外にいるんだということを突きつけられるイベントだったのです。

卒業は終わりじゃない
これからも仲間だから

(from 「天使にふれたよ!」)

ここで先輩方から送られた歌で「仲間だから」というフレーズが非常に重要です。

(歌詞の母音に注目すると「ア母音が6回連続している」ということもあって印象的です。映像内でも胸を打つカットが描かれています。ぜひ確認して欲しいです。)

卒業に際しても、大好きなあずにゃんはひとりじゃない! ずっと! 永遠に! わたしたちの仲間だよ! と輪の中に最後まで引き入れようとするメッセージ。これが感動的なのです。

 〜ではここからは楽理について〜

いつも通り、曲全体のコードとメロディを分析したものをまず示します。ローマ数字はコード示しています。歌詞の上に示された数字は、メロディを表したもので、メジャースケールの最初の音を「1」とし、順次番号をふったものです。例えばKey:Cの場合は、「1」=C、「3」=E、「6」=Aに対応します。(拙著の読者は「シラブルナンバー」の項目を参照してください)

またアンダーラインがひかれた赤い数字は、「コードトーンでない」音を示しています。サビからは太いアンダーラインで、「解決先のコードトーン」を示しています。詳細は後述します。

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2

サビ

テンションとリリース

音楽は一般的に、緊張と弛緩によって表現されます。つまり、緊張度の高いコードやメロディは、安定感のあるコードとメロディに向かいます。そして安定感のあるコードとメロディは、緊張度の高いコードやメロディに移行します。この緊張と弛緩(安定)の中で揺れ動きながら音楽が進んでいくといえます。

「弛緩(安定)」とは「ベタ」

「弛緩(安定)」とは「ベタ」と言い換えてもいいかもしれません。つまり聞き慣れている、よく使われている、構造的にシンプルである、ということでもあります。ベタはとても大事です。ベタがあるから、それ以外の要素が引き立ちます。それに結局みんなが好きなのは「ベタ」なのです。課題曲はそういう意味では「ベタ」であり、他の挿入歌がベタではなくトリッキーだからこそ、この曲が引き立っているといえます。

コードにおいては

ベタなコード進行 正終止 =Authentic cadence

一般的に「Ⅴ7」は緊張度が高いコードだと考えられています。そして「Ⅰ」は安定したコードだと考えられています。ですから緊張度の高い「Ⅴ7」から「Ⅰ」に移動する「Ⅴ7→Ⅰ」というコード進行は、緊張から安定へ 移行するコード進行であり、これは楽曲の最後のによく使われます。ですからこのコード進行を「正終止」と呼んでいます。「正」= つまり超ベタな終わり方、ということです。

ドミナントとトニック

上記の「Ⅴ7」をドミナントコードと呼び、緊張感の高いコードだと一般的に定義します。また「Ⅰ」をトニックコードと呼び、安定したコードと一般的に定義します。

ダイアトニックコードは安定/ノンダイアトニックは安定していない

ダイアトニックコードとノンダイアトニックコードの詳細についてはこちらを参照してください。→こちら 簡単に言えばダイアトニックコードとはべたなコードで、メジャースケールの音だけで作られたコードであり、例えばCメジャーキーであればピアノの白鍵だけを使ったコードです(黒鍵は使われない。)

ですから当然ダイアトニックコードはベタであり安定しています。そしてノンダイアトニックコードは刺激的でダイアトニックコードと比べれば違和感を聴くものに与えます。

課題曲は、ほとんどがダイアトニックコードで構成されています。唯一頻出するノンダイアトニックコードなのはⅢぐらいですね。いかにこのコード進行が安定した構造かがわかると思います。それに対して、他の挿入歌はノンダイアトニックコードが多用されています。特にサビ前とサビ終わり。これでもかっていうくらいテクニックがこめられています。

つまりコードの観点から他の挿入歌と対比したときに「天使にふれたよ!」は非常に安定したコードが使われている楽曲であり、終わりに相応しい一曲となっている、といえます。

メロディにおいては

メロディにおいては以下の順番で安定して聞こえます。

  1. コードに含まれる音
  2. コードには含まれないが、ダイアトニックスケールの音
  3. ノンダイアトニックな音

課題曲においては、一カ所を除き全ての音が「1」もしくは「2」です。つまり非常に安定しています。他の挿入歌はノンダイアトニックコードが頻出するため、当然メロディも安定していない「3」が多く現れます。

さらに大事なことですが、課題曲においてはサビに向かうにつれて「1」が多くなり「2」は減っていきます。つまりサビが最高に安定しているということです。これによって私たちはけいおん!の終わりを感じることが出来ます。安定とはつまり終わりのことです。もし安定していなければそれは、物語の継続を感じさせます。

リズムにおいては

リズムにおいて安定している状態とは一般的に以下の要素をもっていることを指します。

  • 強拍に音がある(ポピュラーミュージックにおいては主に1と3拍)
  • 伸ばしている音が多い(細かいリズムではないということ)
  • 繰り返しが多い

課題曲の特にサビに顕著ですが、「1」と「3」にきっちりとメロディが入っているのがわかります。また非常に伸ばしが多い。つまりリズムの点でも非常に安定しているといえます。安定しているということは、繰り返しになりますが、終わりの歌として相応しいといえます。

逆に課題曲の中でも、リズム的に安定していない箇所が一カ所あります。それは2回目のサビ終わりのあとに続くセクションで、「駅のホーム、河原の道〜」という箇所です。ここでは強拍に綺麗に音が抜けていますよね。つまり上の安定の条件を満たしていません。詩については専門外ですが、ここはつまり未来の話ですよね、卒業しても一緒なんだという。つまり終わりの話ではなくて、続きの話なので、リズムの面でも安定していないと考えることができます。またリズムは関係ないですが、「ユニゾンで歌おう」という箇所を実際にユニゾンで歌っているのも憎い演出です。その直前までみんなでハモっていたのに、突然ここだけユニゾンです。

分析

だいたい上の項目でいってしまいましたが、メロディ、コード、リズムの点で課題曲は非常に安定しています。課題曲以外の挿入歌と比較すると顕著です。そしてサビに向かっていくにつれてその傾向は高まっていきます。これによって私たちは最高に安定した感覚を得ることが出来ます。そして「けいおん!」の終わりを感じることが出来ます。

サビ

サビ

まずリズムですが、綺麗に強拍(ここでは1と3拍)にメロディがある非常に安定したものになっています。

次に、メロディですが、赤いアンダーラインをひいた箇所に注目してください。ノンコードトーンから、コードトーンに移動していることが分かります。これは前打音と一般的に説明されます。つまり不安定な音からより安定した音に移動しています。これも安心感、安定感を演出している要素といえます。

次に丸をつけた箇所、とくに「仲間だから」の箇所に注目してください。この箇所は、ノンコードトーンである「1」が強調されています。また音域も高い。これによって他の箇所に比べると安定感がありません。結果として、続いていくような感覚が生まれます。ストーリーに照らし合わせるなら、卒業したけれど「この先も」「仲間だから」という歌詞に非常にマッチしているといえます。つまり、未来の話だから、安定していないサウンドの方がふさわしいという意味です。

メロ1

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赤い文字に注目してください。これはノンコードトーンです。サビではほとんどがコードトーンでしたが、メロ1ではノンコードトーン=比較的不安定な音が伸ばされて強調されています。この音は、ストーリーに結びつけるなら、これは過去を振り返った時の切なさだといえます。未来ではありません。過去をみんなでふりかえって、あんなことがあったよね、というそういう切なさです。それがメロ1にあります。

リズムの点では、サビに比べると動きがあるのがわかります。つまり音符が短く、上下に移動します。

メロ2

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ここは歌詞でいうと、未来の話ですよね。過去を振り返りつつも、じゃあ次どうしよ!っていう、未来の話です。

それを反映するように、リズムが複雑になっているのがわかりますか?強拍の8分音符裏からくって入って、シンコペーションしてます。未来への期待のリズムといえるかもしれません。そしてそこからサビで一気に安定させるので、サビの終わり感が引き立っています。

コードの点でも、未来への期待をあおるように、1音ずつ上昇するコードですね。

駅のホーム 河原の道 離れていてもおなじ空見上げて 「ユニゾン」で歌おう

すいません、この箇所コードとメロディとっていないんですが、最高に良いですよね。リズムの項目でも説明した通り、ここは強拍に音がない、つまり食って入ってる箇所です。それが未来を演出している。しかし「ユニゾンで歌おう!」から強拍におかれた安定したリズムとそしてコードトーンの安定したメロディになります。そして当然ここから「ユニゾン」で歌っています。その前はハモってます。

ユニゾンとは全員で同じメロディを歌うことを指します。軽音楽部で出会ったメンバーが一緒に活動して成長していくのがけいおん!の物語だと思うのですが、それが「ユニゾン」ということですね。一緒だよ、ということだと思います。

そして特徴的なのは最後のコードがⅢ = ノンダイアトニックコード(かつセカンダリードミナントⅤ of Ⅵ)です。終わりではなく、次に続いていくということが暗示されているように感じます。そして次の小節でⅣに解決。

まとめ

ということで、以上「天使にふれたよ!」の楽理的な分析でした。やはりキーポイントになるのは、最後の曲、終わりの曲として相応しい安定感が全体を通して演出されている、ということだと思います。これによって私たちは「けいおん!」の終わりを受け入れることができたのではないでしょうか。

安定している、ベタであるということは、終わりの曲として非常に大事だと思います。もし皆さんも映画やアニメのキー曲をつくる際には、この点を意識してみてはどうでしょう?安定したコードとコードにそったメロディ、そしてしっかりと拍にのったリズムで、終わりを演出しましょう。

ちなみに今週日曜日は日本音楽理論研究会で、芸大和声の執筆者として有名な島岡譲先生の前で発表です。頑張ります。http://sound.jp/mtsj/

あと私は唯ちゃん派です。
ではまた!!!

 

〜協力〜
けいおん!考証:the 8 rise a.k.a. やおき ( lyricstheory.com ) / 唯ちゃん派
イラスト:青椒肉絲  ( chinjao.com ) / ムギちゃん派

 

Neralt

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