《音程至上主義》をその人差し指と薬指で


《音程至上主義》をその人差し指と薬指で

kobori akira:1989年生まれ、東京都出身。CultureMilkオーガナイザー。

本書は、NERALT氏による「フィンガードラム」の指南書であり、かつ「グルーブ=グルーヴ」について誠実に向き合った第1歩でもあります。

フィンガードラムの演奏法については、すでに本書に書かれている通りです。私も机をパッド代わりに、とりあえずパラディドルを練習してみました(そして指を痛めました。NERALT氏はフィンガードラムの危険性についても書くべきでした。アメリカなら訴訟モノです)。

そして、えー、こんなマニアックな本をEPUBで読んでいる皆様、ひいては紙本として購入してまでフィンガードラムを極めたいと思っている皆様にとっては、これから書くことは遠い国の世界のお話に聞こえるかもしれません。

『関ジャニの仕分け∞(エイト)』という番組をご存知でしょうか。大人に見えるけど本当は12歳だったりする娘を関ジャニのみんなが仕分けしていた番組なのですが、今は企画が変わりました。何に変わったかと言うと、「カラオケ得点対決」でして、最新のカラオケ機材に搭載されている採点システムを使って、プロと素人あるいは小学生(プロデューサーはロリコンかもしれませんね)が対決するのです。よろしければ、人差し指と薬指をキーボードに移し、「仕分け カラオケ」と動画の検索でもしてみてください。

面白いのは、この「採点」の基準で、ザックリ言うと「音程が合っているか?」が基礎点となります。これに「こぶし」「しゃくり」「ビブラート」「フォール」の4種類の技術による加点があるのですが、これらの技術はどれも「音程の(時間的な)変化」です。

一方で、タメは減点されてしまうので、決められたリズムを外れることは許せません。気持ちを入れたり、あるいは気を抜いたりして歌うと、どんどん点数が減るわけですね。

上からわかるように、カラオケの採点システムにおいては、上手さを決めるのは音程であり、とんでもない飛躍を許していただけるなら、日本は《音程至上主義》の国なのです。

何かを重視することは、何かを軽視することです。「音程」を重視することで、軽視されるものが何であるかは、皆様もお気づきでしょう。私は、この「音程高リズム安」の状況を、日本人のリズム感に対するコンプレックスが生んだものだと考えています。

ここで大切なのは、日本人にリズム感があるかないか、ではありません。一度でいいから、スナックでご老人のカラオケを聞いてご覧なさい。皆様はジョークでもラップの真似事ができて、しりとり侍で遊んだりできるでしょう。というか、この本を理解できる時点で、リズム感が「無い」なんてことはないのです。

それでもわたしたちが「リズム感=グルーブ」に対して躊躇してしまうのは、NERALT氏の言葉を借りれば、グルーブが「マジックワード」であり、「検証不可能」な話ばかりが語られるからです。

繰り返しになりますが、本書の素晴らしい点は、そんなある種「言ったモン勝ち」の世界で、グルーヴを思い切って捨象し、提示したところにあります。「ビートの初歩の初歩」から始めることがどれだけ大切か。STAP細胞が巷を賑わす2014年では、ちょっと考えればよくわかることです。

NERALT氏は今後、グルーブについての研究をより深めていくでしょう。次の研究報告が理解できるよう、知行合一、わたしたちもパッドを叩きましょう(机は叩かないように)。

このは役に立ちましたか? 役に立った 役に立たなかった 2 人中 1 人がこの は役に立ったと言っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

以下の数式は「スパム対策」です。空欄に正しい数字をいれてください。お手数をおかけします。 * Time limit is exhausted. Please reload the CAPTCHA.