Massiveの使い方シリーズ、今回はインサートエフェクト編です。Massiveにおけるインサートエフェクトは、ほぼ倍音を作り出す、もしくは歪ませるための機能だと考えていいでしょう。何故ならインサートエフェクトの欄には、リヴァーヴやコーラスといった一般的なエフェクトが一切なく、ほぼほぼなにをやっても元の音がグチャグチャになる効果のものしかないからです。
ということで、歪ませるぞ、という気持ちで読んでください。
インサートエフェクトを入れる場所を決める
インサートエフェクトを入れる場所を、Routingセクションで決定します。「inst 1」というのが、インサートエフェクトの1番が入る場所です。これを自分でクリックして決めることができます。
フィルターの直後、もしくはフィルターの直前にインサートし、「フィードバックを上げる」と、かなり過激なかかり方をします。何故なら、フィードバックにより、何度もインサートエフェクトを通るからです。EDM的な歪みがあるプリセットは大体この位置にインサートされています。
また、フィルターの直前、つまりオシレーターのすぐ後ろにインサートエフェクトを入れるのもよく見られます。波形をすぐに歪ませて、音を作ってしまおうということです。
これはマッシヴの音作りの、実はコアの部分ではないかなと思っています。フィルターを通すと、どうしても倍音を削ることになるので、音が弱くなります。ですからフィルター以外でブヨブヨとした例の歪みが欲しいとなると、オシレーターのすぐ後で、バリバリにオーヴァードライヴさせればいい、ということでしょう。これポイントです。
Sine Shaper
なんといってもまずはこれです。ほとんどのEDM的な歪みのある音色にかかっています。原理は難しいので一旦おいておくとして、効果はディストーションです。ただし、波形自体をズタボロにする原理なので、一般的なディストーションと感覚がことなります。いわゆるもっとデジタル的な歪み、つまり現代の音楽にあった歪みをしてくれます。パラメーターはシンプルに、ドライヴとドライ/ウェット。歪ませて、混ぜるだけです!
Parabolic Shaper
これもほとんどSine Shaperと同じ効果で、かなりのプリセットにささってます。ドライヴを回せば効果がわかります!
Hard Clipper
説明書で全く言及されていないので詳細は不明ですが、一般的なクリッパーだと思われます。インプットに入れては行けないくらいの大音量を入れることで、潰れるっていうエフェクトです。ようは歪みます。はっきり言って、このセクションはほとんど歪みます。仕組みが違うだけです。
Bit Crusher
ビットを落とすエフェクトです。「Crush」というわかりやすい摘みを回してクラッシュさせてください。
なんでこんなことをするかというと、まあ歪むからなんですが、歴史的にも低いビットレートのせいで独自のサウンドを持った伝説的な機材がいくつかあるからです。一番有名なのはE-muのSP-12ooと、AkaiのMPC60です。例えば、J Dillaは、キャリアの最初期にこれらの12 bitサンプラーを使っています。最初にSp-12を使って次にSP-1200、MPC60と乗り換えています。これらは全て12bitのサンプラーです。J Dillaは別に12bitサンプラーがいいといって選んだわけではありません。この当時、サンプラーはほとんど12bitでした。というのも、そのほうが容量を減らせるからです。つまり技術的なイージーさから、12bitが採用されていただけでした。
しかし、時代が進んで16bitのサンプラーが当たり前になった時、何かサウンドに物足りなさを感じる人たちがいました。そしてその物足りなさは、というか昔のサンプラーのハードなサウンドは、実はbitレートが低いから起きているのでないか、という一つの結論に至ったのです。そしてbitレートを落とすという処理が注目されました。
ビットクラッシャーはそういうエフェクトです。
まずはインサートエフェクト、以上をおさえてください
他にもエフェクトいくつかあるのですが、わかりやすく歪むものは上記のエフェクトです。これをおさえておけば問題無いです。
ではまた!