Massiveのフィルターは、かなりフレキシブルに設定できますが、それが難しくなっている原因でもあります。ですので、まずMinimoogタイプの非常にシンプルなセッティングにする方法を紹介します。
Minimoogタイプのフィルター・ルーティング
(青)オシレーターを全てF1つまりFilterの1に送る
オシレーターセクションにあるF1-F2というスライダーを、完全に上まで上げて、F1にだけ音が進むようにしてください。
(もし反対にスライダを下まで完全に下げると、全ての音はF2のフィルターに進み、F1は通りません。)
(緑)Ser=シリアルまで、目一杯あげて、フィルターを直列つなぎにする
このフェーダーを完全に上まで上げると、2つのフィルターが直列つなぎになります。つまり、フィルター1を通った音は全て、フィルター2に進むことになります。ただ、今回はフィルター2はつかっていませんので、あまり関係ないです。
(赤)フィルター1のボリュームを上げる
ここは、ざっくりと説明すると、各フィルターを通った音のボリュームの調整です。ですので、今回はフィルター1を使っているので、フィルター1のボリュームを上げてください。
(橙)Mix1だけにする。(フェーダーを完全に上へ)
これでフィルター1を通った音だけが聞こえます。
結果として、全てのオシレーターの音がフィルター1に進み、フィルター1を通った音だけが聞こえます。
これでMinimoogと同じ、一つのフィルターだけを使ったセッティングになりました。ベーシックなシンセ音色は、このセッティングで作ることが可能です。ですのでまずこのフィルターセッティングで、ベース、パッド、エレピ、リード、といった音色を作ることに慣れるのをおすすめします。
フィルター1とフィルター2を両方通った音だけを聞くセッティング
せっかくフィルターが2個あるので、一個目のフィルターで音を加工し、さらにその音を2個目のフィルターでも加工したい、という場合のセッティングをご紹介します。つまり2つのフィルターを順番に通して加工するルーティングです。
(緑)まず全てをフィルター1に送る
(青)完全にシリアル接続=直列つなぎにする
こうすると、F1を通った音はすべて、F2に進みます。
(赤)F1・F2共にフィルターを設定し、各フィルターのヴォリュームを上げる
実は、F1のフィルターのヴォリュームはあげなくても、今回のケースにおいてはあまり問題がありません。F2のボリュームだけは必ずあげてください。
少しわかりにくいですが、実はこのパラメーターは、フィルター1を通った音をMix1にどれくらい送るか、というパラメーターであって、フィルター1を通った音をフィルター2にどれくらい送るかというパラメーターではないのです。つまりフィルター1のこのパラメーターをゼロにしても、問題なくフィルター1を通った音は全て、フィルター2に進みます。
(橙)完全にMix2に振り切り、フィルター2を通った音だけを聞く
こうすると、フィルター2を通った音だけを聞くことができます。といってもフィルター2を通る前にフィルター1をも通っているので、結果として、オシレーターから出た音がフィルター1を通って、さらにフィルター2を通った音を聞くことになります。つまり今回の希望通りのルーティングになりました。
もし、このフェーダーを丁度真ん中にすると、以下の2つの音を「混ぜあわせて」聞くことになります。
- フィルター1とフィルター2の両方を通った音
- フィルター1だけしか通っていない音
つまり、フィルター1しか通っていない音も、聞いていることになります。これも悪く無いですが、今回の予定とは異なったセッティングです。
パラレル接続
まず「パラレル」という言葉について理解して欲しいのですが、パラレルというのは「互いに影響を与えずに独立している状態」を表す言葉です。例えばSFでパラレル・ワールドといった場合には、自分の住んでいる世界と非常に似ているのに、全く自分の世界とは「関係がなく独立して」存在している世界のことを表しますよね。実はパラレルな宇宙が存在していて、そこを行き来することでタイムワープをしたりします。
今回のパラレル接続も同じ意味で、フィルター1とフィルター2を独立して使うよ、という意味です。つまり、「フィルター1を通った音はフィルター2に」進まないですし、当然「フィルター2を通った音はフィルター1にも」進まない、ということです。2つのフィルターの「行き来はない」というのがパラレル接続です。
では今回は、パラレル接続を使って以下の様なセッティングにしてみましょう。
- オシレーター1と2はフィルター1だけを通る。
- オシレーター3はフィルター2だけを通る。
- 最後にフィルター1を通った音と、フィルター2を通った音を、両方共聞く。
(緑)まずオシレーター1と2を、フィルター1に送る
(緑)オシレーター3を、フィルター2に送る
こうすると、オシレーター1と2は、当然ですがフィルター2にはいかないですし、反対にオシレーター3はフィルター1には進みません。当たり前ですね。
(青)完全にパラレル接続にする
こうすると、F1とF2は完全に独立して、お互いに行き来することは一切ありません。単に2つの異なったフィルターを活用する設定になります。
(赤)F1・F2共にフィルターを設定し、各フィルターのヴォリュームを上げる
(橙)Mix1とMix2の間にフェーダーを配置し、両方の音を聞く
このフェーダーの割合によって、Mix1のほうを大きくするか、Mix2のほうを大きくするか決まります。
まとめ
今回は以下3つのフィルター接続を紹介しました。
- フィルターを1個だけ使う接続
- フィルターを2個使い、両方を通らせる接続
- フィルターを2個使い、それぞれのフィルターを独立させる接続
基本は「1.フィルターを一個だけ使う接続」だけでたりことが多いです。
フェーダーをパラレルとシリアルの間にしたらどうなるか?
ちなみに、今回はどのフェーダーも完全にどちらか一方に振りきってしまいましたが、その間だとどうなるのでしょうか?結論からいうと、間の効果になります。
次の2つの例をみると、その効果がよくわかると思います。
まず上記の例は、オシレータからはF1とF2に送っているものの、完全なシリアル接続になっています。フィルター1のカットオフを完全に絞っているため、Mix1の音量はゼロで、しかもフィルター1を通った音の音量がゼロですから当然フィルター2にも全くの無音が進みます。結果として上記のセッティングは音が全くでません。
オシレーターからフィルター2に送ったシグナルはどうなったのでしょう?フィルターの接続が完全なシリアルであるため、このシグナルはフィルター2が受け取ることができないため、完全に無視されることになります。結果として音がでないのです。
しかし、次の例を見てください。
この例はシリアルとパラレルの間の接続にしているので、音が出ます。先ほどの例との違いはたった一箇所、シリアルとパラレルの設定だけです。
先程は音がでなかったのに、なぜ今回は出るのでしょうか?
聞こえる音は、オシレーターからフィルター2に進み、そしてMix2に進んだ音です。
つまり先ほどシリアル接続であったために無視された、オシレーターからF2に送られたシグナルが、今回は「生きている」ために、音が聞こえるわけです。
少し複雑ですが、色々とセッティングをしてみることで、中間のパラメーターがどう動いているのか理解することができます。
ではまた次回!
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