今回テーマは「Env エンヴェロープ」 これを理解することで圧倒的にシンセを活用できるようになります
今回はEnv エンヴェロープを解説します。エンヴェロープは、シンセサイザーの音色に、時間的変化を与えるために必要な機能で、これを使うことで音色に表情が付きます。エンヴェロープの調整が音色を決める上で一番重要だと私は考えています。張り切って行きましょう。
パソコンのキーボードで音をだすことが可能
その前に、ティップスとして、パソコンのキーボードを押して、音階を演奏することが可能です。音色をエディットする際には、そこまで演奏性が必要ないですから、パソコンのキーボードで音を確認するだけで十分なことがよくあります。わざわざMIDIキーボードをつながなくていいので、楽ですね。
キーボードのZは「C」、Xは「D」になっています。Sは「Db」。結果として、ピアノの鍵盤の配置と同じです。ちなみに1オクターブ上のCは「Q」に配置されています。
AmpセクションのAmp Modに青く光る4は、Env4がかっているマーク
AmpセクションのAmp Mod という項目の下にあるボックスに、青い4という数字があります。これが今回我々が取り組もうとしている「Env エンヴェロープ」の4番目のものが、かかっていますよ、ということを表すマークです。イニシャルパッチには、最初からこの設定がされています。
Amp Mod にかかっているEnv4は、画面中央の「4 Env」という部分をクリックすると現れる「図形」です。実際に4 Envをクリックして、図形を表示させてください。
この図形が、Amp Modに影響を与えているということです。ではどんな影響をあたえているのでしょうか。
Ampとは音量を担当するセクション
その前に、Ampセクションが何を担当しているのか説明します。Ampセクションは、基本的に音量を担当している考えて問題ありません。そしてシンセサイザーは音量を時間的に変化させることで、サウンドを変化させます。
例えば、ストリングスの音量変化を考えてみるとわかりやすいでしょう。
上のデカルト平面は、横方向(水平方向)が時間を、縦方向(垂直方向)が音量を表しています。
つまりストリングの音量は、最初はゼロで、徐々に上がっていく、という変化をするわけです。それを上図は表しています。
では次の図はどんな音量の変化を表しているでしょうか?
これは先程のストリングスよりも、時間的早く音量が増加するサウンドを示しています。つまり例えばピアノとかクラシックギターに近いアタックです。
音量の変化のさせかたをAmpが担当する。また、音量の変化によってサウンドがかなり決まる
ということで「Amp Mod」は音量を変化させるためのセクションで、音量を変化させることでサウンドを変化させることができるのです。そして、この変化をさせるための図形を描くためにEnv エンヴェロープがあります。
Amp を Env で変化させることができる
Amp Mod にEnv4 を割り当てることで、音量を「Env 4 の図形と同じように」変化させることができます。
では早速マッシヴを使って、Envセクションに取り組んでみます。
AmpをEnvで変化させて音色を作っていく
ではまず次の画像のように、Amp Mod に4番のEnvがかかっていることを確認し、4 Env を開いてください。
得意の塗りつぶしで、機能を制限する
次に得意の塗りつぶして、機能を制限します。他の部分は、コアの部分が分かった後に勉強しましょう。
ADSR
では、残ったノブをいじって、図形の形を変えてください。形を変えると、音の変化が変わることを体感してください。
ちなみに一般的なシンセサイザーの教科書に書いてあるADSRは、マッシヴにおいては以下の図のように対応します。
一応ADSRに関する説明をしておくと…(特に今回は音量と関連付けて説明します。)
- A = Attack Time 鍵盤を押してから、音が最大になるまでに、かかる「時間」。ここを長くすればストリングスのようにゆっくりと音量が大きくなるサウンドに、短くすればピアノのようにアタックが強いサウンドになる。
- D = Decay Time アタック・ステージが終了した後、つまり音量が最大になった後に、どれくらいの「時間」をかけて、サスティン・レベルに到達するかを設定する。Dは次に説明するS = Sustain Level とも密接に関わるので、この2つは同時に調節するとよい。
- S = Sustain Level Dで設定した時間をかけて落ち着く先の「音量レヴェル」。鍵盤を押している限り、ここに居続けます。(設定によっては、そうでないモードも有りますが)
- R = Release Time 鍵盤を離した後に、音量がゼロになるまでの「時間」です。例えばシンセパッドを作るときには、鍵盤を離した後も暫く音がなっていて欲しいので、このリリースの値を眺めにしてみると良いでしょう。
ADRはTime、つまり時間なのに、SはLevel、つまり量である点に注意。
ADSRと並べているために紛らわしいのですが、ADRはTime、つまり時間なのに、SはLevel、つまり量である点に注意してください。つまり、根本的にADRとSは単位が違う概念です。MECEの原則に反したリストになっているわけです。わかりづらい!しかもマッシヴにはサスティンがないですね、絵面的に。これも混乱をきたす原因です。
まとめ
- マッシヴのイニシャルパッチは、Amp Mod にEnv 4が既に刺さっている。
- つまり、Env4 を変更すれば、音量変化を加える事ができる。
- Env エンヴェロープは、量と時間をパラメーターに持つデカルト平面上の図形によって表されており、この図形を変化させることで、設定する。
- ADSRを覚えておいてください。
- ストリングスならアタックを長く、ピアノならアタックを弱くするのをおすすめします。
- パッドならリリースを長く、クラシックギターならリリースを短めに設定するのをおすすめします。
- ディケイは適当でもなんとかなります。
ということで、今回はEnvをAmpにかけて、音量を変化させました。EnvにはADSRの要素があります。これをきっちり覚えましょう。
ちなみに、エンヴェロープに関する圧倒的に詳しい説明がatnr.netでされています。atnr氏はPROGRESSIVE FOrMなどからもリリースしているNyolfen等が所属するLabel、Denryoku Labelのボスで、大型のモジュラーシンセをライブでも活用する、非常にシンセサイズに長けたミュージシャンです。先日のリキッドルームでのライブでも、モジュラーシンセを持込み、リアルタイムに演奏していました。
この記事では、本来のシンセサイザーが電気的にどのようにエンヴェロープを発生させて、コントロールに使っていることが書かれています。是非参考にしてください。
http://www.atnr.net/how-to-use-the-envelope-on-modular-synth/
ではまた!
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