上記の書籍を勉強しています。ドビュッシーの和声は明らかにジャズに影響を与えています。そしてジャズは各種ポピュラーミュージックに影響を与えているのですから、現代の私たちも間接的にドビュッシーの影響を受けているといえます。ですからそのルーツを知ることで、何か発見があるのではないか、と思っています。各種用語は書籍の中ではクラシックベースのものですが、私達にはわかりにくいのでジャズ用のものに変換しています。
5度音の変質
通常コードの5度音は、完全5度 (P5) であるが、変化 (オルタード) させることができる。今回は5度音がフラットするパターンを取り上げる。これはドビュッシー特有ではなく、一般的に使われる和音である。
クラシックにおいては基本的に、5度がフラットする場合、5度が最低音に配置され、かつdominant 7th コードか、もしくはdominant 7th b9 の形で現れる。つまり単なるトライアド(譜例では第一のもの)の5度がフラットすることはほとんどない。
そのため以下のように進行する。(2つめのコードBbはなくてもいい)
つまりBbをⅠと考えると、C7b5はⅡ7b5であるので、C7b5はダブルドミナントであると考えられる。
またこのDominant 7th/b5/b9 タイプのコードはマイナーキーと関連しており、Ⅰmに解決する。
ドビュッシーが使用する5度下降和音
ドビュッシーが使用する5度下降和音は以下のものである。しかも解決を必要としない。安定した和音として使用される。
ドビュッシーが使用する5度下降和音の特徴
まずドビュッシーが使わない方の以下の和音に注目して欲しい。このコードは、「F#7」と考えることができる。つまりBメジャーキーのドミナントコードだ。これは日本のジャズ用語的には裏コードと呼ばれるコードに対応する。このコードはBメジャーキーに所属すると考えることができる。
しかしドビュッシーが使用する方のコードは、どのキーにも所属しない。本質的な変化和音だと考えることができる。つまり、キーが不明確だ。本質的にどのキーにも所属しない和音である。
感想
上記のコードのうち右のものはジャズでよく使われるボイシングです。今回取り上げたドビュッシーの和音(左)と非常に似ています。違いは、ドビュッシーの和音(左)では「E」が使われていますが、ジャズのボイシング(右)では「F」が使われている点です。
(右)はリディアンを示唆するボイシングで、主にⅣ度上で使用されます。b5は正確には#11と記されるべきテンションです。
(左)の和音と(右)の和音に、サウンド的な近さを私は感じます。右の和音には、印象派的な印象を感じていましたが、その理由が今回勉強してみて明確になりました。つまりドビュッシーが使っているサウンドに近いんですね。なるほど。
今回は少し難しい内容なので、勉強を始めたばかりの方が理解することはできないと思いますが、なんとなく楽譜をみて演奏してみると、面白いサウンドがするので楽しいと思います。
ではまた!
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